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QIQBセミナー: 第一原理振動状態理論の開発:生体分子における量子現象解明を目指して

講師: 水上渉 九州大学総合理工学研究院・助教
分野: 量子化学理論、量子生命現象
題目: 第一原理振動状態理論の開発:生体分子における量子現象解明を目指して
要旨:
タンパク質などの生体分子では、トンネル効果によって加速される酵素反応、励起状態を介したエネルギー移動や構造変化など、分子の運動を量子力学に基づいて記述しなければ説明できない現象が存在します。こうした量子現象を直接観測し、原子分子レベルで何が起こっているかを明らかにすることは、今以てチャレンジングな課題となっています。計算機シミュレーションは高い分解能を持つ有望なツールですが、生体分子に対して信頼のおける量子ダイナミクス・シミュレーションをおこなえるほどには方法論がまだ成熟していません。この量子化学の未完のプロジェクトに関して、本発表では、分子(振動)運動のSchrödinger方程式を解く体系である第一原理振動状態理論の現状と、我々が開発してきた手法について紹介をします。